Special Interview
元トランポリン選手 オリンピアン・世界大会金メダリスト
外村 哲也 氏 特別インタビュー
ネイスプロダクツは、元トランポリン選手の外村哲也氏にトランポリンの
魅力についてインタビューを行いました。
トランポリンを行うことによって得られる効果のほか、ネイスプロダクツでも取り扱いをしている
「ユーロトランプ」についても、その魅力と共に他のトランポリンとの違いなどについてお話いただきました。
僕は元々器械体操をやっていました。そこで基礎をきっちり構築され、しっかりと指導してもらった点は良かったのですが、「もっと自由に動きたい」と思いながら体操を練習していました。
そんな中、トランポリン教室に行くことになりました。
教室では、体操の基礎を習っていたおかげで色々な動きをこなせる自分がいました。コーチも、トランポリンを使った様々な動作に積極的に挑戦させてくれました。トランポリンは体操に比べると滞空時間が長いという違いがあり、空中で動ける自由度が非常に高いです。
トランポリン競技では最大で、建物の3階フロアの高さや、電信柱の高さ程度まで跳ぶこともできます。長い滞空時間の中で、『やりたいことなんでもできるぜ!』という気持ちになれました。
そういう感覚や達成感が楽しく、すごく印象に残った初めてのトランポリン体験でした。
トランポリンでの運動は非日常の動きであり、総合的に幅広い動きができるようになるコーディネーショントレーニングの効果があると思います。また、体幹が弱いとまっすぐ綺麗にジャンプできないので、ブレない安定したジャンプの練習をしていくうちに、必然的に体幹が鍛えられていきます。
トランポリン以外にも、体操など非日常の動きをする運動は他にもありますが、トランポリンが特別非日常だと感じるのは上下運動です。
姿勢を綺麗に保つ筋肉の一つに脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)と言う筋肉がありますが、ただ立っているだけでは起立筋への負荷は通常感じにくいです。しかし、トランポリンの上下運動によって負荷を適度に増やすことができ、起立筋に直接アプローチすることができます。トランポリンを跳ぶと姿勢がきれいになるのは、そういったことも大きな理由の一つです。
トランポリンの特徴として、実は一番強く挙げたいのが、楽しいという点です。
スポーツに限らず何でもそうですが、継続的に続けるためには楽しいという気持ちがあった方が良いですし、僕もその気持ちが強かったからこそ、トランポリンを継続でき、強くなれたと確信しています。
トランポリンでは、「楽しい」ことにプラスして「体に必要な動きを覚える・体幹を鍛える」ことができるのも、魅力の一つだと思います。
いろいろありますが、トランポリンの特徴の一つとして挙げられるのが、リズム感を習得することにもすごく向いているという点です。
トランポリンという器具に合わせて体を動かす必要があるので、リズムに合わせて自分の身体をコントロールするという能力が非常に伸びます。
トランポリンとは一見関係なさそうな、音楽やリズムゲームが好きで得意な人が、トランポリンを上手に跳べるということもあります。このような論文や研究があるかは分かりませんが、30年間競技に携わりいろんな人を見て、そういう関連があると個人的には感じています。
リズム感は小学校に入る前の未就学児に重要な要素の一つだと思います。
色々ありますが、少しマニアックな話をしますね(笑)
トランポリンの、人が乗って跳ねる繊維状の面のことをベッドと言います。ベッドには大きく分けると2種類あり、糸で編み込んだベッドをストリングスベッド、テープで編み込んだものをテープベッドと呼びます。ユーロトランプはテープベッドです。
それぞれの特徴として、ストリングスベッドは柔らかくて跳ね上げが強く、テープベッドは、跳ね上げはそこまで強くはないが、安定感があると言われています。
ユーロトランプはテープベッドなので高い安定感があります。それに加えて跳ね上げる力もストリングスベッドにも劣らない強さがあり、2つのベッドの特徴のいいとこ取りをしているように感じます。
また、安定感一つ取ってみても、他のテープベッドのトランポリンに比べ、ユーロトランポリンが一番跳びやすく感じます。跳んでいるときにベッドがブレるように感じることもほとんどありません。
ここまで高いクオリティのトランポリンが実現している背景として、常に進化し続けるユーロトランプの向上心があると思います。
トランポリンが正式にオリンピック競技になった2000年のシドニーオリンピックの時からユーロトランプが使われていますが、当時に比べて2022年現在のものは安定感や跳ね上げの強さも格段に良くなっています。
トランポリンには鋼製のフレームと、それを保護するためのフレームパット(柔らかい緩衝材のようなもの)があります。パットが薄いと怪我の危険性が高まりますが、使用感を損なわない程良いバランスの中で厚みが増え、安全面はどんどん進化していますし、トランポリンを折り畳む際の収納のしやすさも追及されています。
様々な面でどんどんアップデートされているのが、ユーロトランプの一番の良さだと思っています。
最後に子どもたちにメッセージをお願いします。
トランポリンは近年正式なオリンピック競技になり、やっと、「こういう競技があるんだ」と知ってくれていることが増えてきました。
認知度が上がり、子どもたちに「トランポリン跳びたい跳びたい!」、「体験したらすごく楽しかった」と言ってもらえることも多いです。
それでもまだ、トランポリンをする場所や機会が少ないというのが現状だと思っています。そういった意味でもまだまだマイナーなスポーツなので、トランポリンを跳べる機会を更にたくさんの子どもたちに届けたいと思います。
跳べばいろんなトレーニングができますが、トレーニングを抜きにしても、とにかく楽しんでもらえたら、すごく嬉しいです。
外村 哲也氏 プロフィール
外村 哲也 そとむらてつや
1984 年 10 月9 日生
出身 :東京都 世田谷区
◇現役中の主な成績
・2008 年 北京オリンピック 4 位入賞
・世界選手権大会、ワールドカップ、パンパシフィック大会など 優勝
・全日本選手権大会、全日本年齢別大会、全日本トーナメント大会など 優勝
・国内試合 メダル獲得数 約 200 個
・国際試合 メダル獲得数 36 個(うち金メダル 14 個)
1984 年、ロサンゼルスオリンピック体操銅メダリスト・外村康二の長男として生まれる。
物心ついたころより体操競技を始める。体操の練習の過程でトランポリンと出会い、10 歳 で競技転向。 その年から全日本ジュニアでメダル獲得、12 歳では世界ジュニアで準優勝。 どんな厳しい状況でも決してあきらめず逆境を乗り越え自己成長を続け、世界一の夢も、オリンピックの夢も叶える。
2020 年、現役引退。
トランポリン自体の楽しさや、夢を追いかけた人生の教訓を多くの人に伝えるべく、現在はトランポリンの専門家として、コーチ、教室コンサル、コンテンツ製作、講演・イベント出演などを行っている。
2022年より、ネイス株式会社・ネイスプロダクツのアドバイザーに就任。